豚や馬のやきとり  揚げた鶏のやきとり  季語  草野心平 

やきとりソング  ねぎま  備長炭  忠臣蔵

江戸時代、鳥とネギは相性が悪いと思われていた

 明代の李時珍によって書かれた薬物書『本草綱目』(1578)には、鶏に関する注意が記されている。「五色のもの。黒い鶏で白首のもの。六指のもの、四距(けづめ)のもの、死んで足の伸びない鶏などは、害があるので、食べてはいけない」「よく鳴く閹鶏(えんけい=去勢した鶏)も、有毒。四月に卵を抱いている鶏の肉は、食べてはいけない」「五歳以下の小児が鶏を食べると、かい虫を生ずる。鶏肉と葫(にんにく)・蒜(ねぎ)・芥(からし)・李(すもも)と食べ合わせてはいけない」とある。

 正徳二年(1712)頃に出版された図説百科事典『和漢三才図会』(寺島良安著)には、「小児五歳以下にして鶏を食えば、かい虫を生ず。鶏肉と糯米(もちごめ)と同じく食えばかい虫を生ず。鶏肉を葫蒜芥李にあわせてこれを食うべからず。鶏肉と生葱(なまねぎ)と同じく食えば虫痔となる。鶏肉を鯉魚と同じく食へば癰(よう=皮が薄くてやわらかい腫れ物)となる」と書かれている。

 これらの記述から、鶏とネギを一緒に食べると寄生虫を生ずると信じられていたようだ。これらの食い合わせのほとんどは迷信のようだ。
 では、ネギの代わりに何が食べられていたかというと「芹」なのである。肉の臭みを取り、肉の味を引き立てる香味野菜が選ばれた。
 「芹の上鴨昼寝してうなされる」の古川柳がある。
 幕末頃になると、鳥とネギはよく食べられるようになる。タブーよりも美味しさが勝った「論より証拠」状態といえるのだろう。
 「ネギばかり食うも一足ちがいなり」と、宴会への遅刻がこう詠まれている。

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